01 恋愛感染メール









・・・君のメルアドを知ったときに

この想いは私の携帯だけにとっておこうと思ったの。












伝えられたらよかった。

もちろん、伝えられるはずなんかなくて・・・


だってたとえ同じクラスでも、同じ部活でも

君との距離はとても遠いから。

この携帯電話のように


一瞬で君との距離がゼロになったらいいのに。





自分の部屋でメールを打つ。

明日の部活の連絡のメール。




――――――――――――――



To:日吉若

Subject:明日



明日の朝練、病院に行くから


行けないから!

ついでに1限にも遅刻するから、

ノートお願い!!





――――――――――――――






病院の馬鹿。

嫌、むしろありがとうと言っておこう。

こうして日吉君に連絡する

きっかけをくれたことを!


そう思いつつ、メールを送信した。





数分後、聞きなれた着メロがなる。





―――――――ー――――――




From:日吉若

Subject:Re明日



分かった。





――――――――――――――






それだけ?

返信が早いのはうれしいけど。

つまりそれだけなのだ。

・・・私と日吉君の距離は。


そんなことを考えたら、

何だかイライラして携帯をベットに投げた。

ベットはポスっと音を立て

簡単に携帯を受け止めた。




その後も携帯が音を出すことは無かった。

私が返信を止めたんだから当たり前だけど。





宿題をしていたら、


時計の針がいつもより遅い時間を指していた。

そろそろ寝ようと思って、携帯のアラーム機能をセットする。

保険として目覚まし時計も・・・。




なんとなくカーテンを開けて夜空を見上げる。

外の気温は寒いのだろう。

窓が結露していた。

手で窓をこすり、水滴を落とす。


星が輝くのがよく見えた。

明日も晴れる、そう思ってカーテンを閉めた。






ベットに入ってから、数十分が経過しても眠れなかった。

仕方なく携帯を開く。

暗い部屋の中で、携帯だけが明るく輝く。


保存メールを確認する。

保存メールは1件しかなかった。





――――――――――――――



To:日吉若


Subject:無題



好きです。





――――――――――――――




メール作成日は日吉君のメルアドを知った日。

・・・ため息をついて、携帯を閉じる。


せめて夢の中だけでもいい思いをさせてほしいと思って、目を閉じた。







病院での診察は思ったよりもいい結果だった。


よかった。

学校に着いたら、真っ先に職員室に寄り

そこに居た先生に遅刻証明書を見せて

教室に向かった。




途中でチャイムが鳴る。

1限が終わった合図。



。」



聞きなれた声に呼び止められる。


振り返ればやっぱり・・・榊先生。



「はい?」



「今日の昼休みにミーティングを行いたいから、レギュラーを集めてくれ。」




「はーい。」





そう返事をしたのはいいけど面倒だ。

メールの一斉送信を使うことにする。






――――――――――――――――――



To:日吉若、鳳長太郎、樺地崇弘・・・

Subject:昼休み




榊先生が呼んでます。

音楽室に集合してください。



――――――――――――――――――




そう書いて送信しようと思ったら、

教室に着いた。

友人が今日の病院の結果について

話しかけて来たから、


メールを保存して、友人と話す。





、これ。」



友人との会話が終わると、


日吉君がやって来てノートを貸してくれた。



「ありがとう!助かった!!

あ、そう言えばさっき榊s・・・」




っ!歴史の教科書貸して!!」



会話は鳳君により遮られた。



「保存メール見て!送信しといて!!」




日吉君にそう言って席を立つ。

ロッカーから歴史の教科書を取り出し、

鳳君に渡す。



「鳳君が忘れ物なんて珍しい〜」




「地理と教科書間違えてちゃって!」



そう言って鳳君は自分のクラスに帰っていった。

私も自分の席に戻る。






「保存メール、確認して送信してくれた?」



日吉君の顔を覗き込む。

なぜか日吉君の顔は真っ赤だった。




「自分で送信しろ。」



そう言って私の携帯は押し返された。

画面を確認したら、


好きです、と書かれた画面が光っていた。



「え・・・ち、ちっ違うっっ!

これじゃないっ!!


こっちのタイトルあるほうを・・・」



「もう見たし、送信した。」



さっきから顔を背けた日吉君はそう言って


私の方を見ようともしない。



「・・・あのね、違うよ?

と、友達とね・・・遊んでて罰ゲームの時に書いたの。本当に遊びで!!」




そう言うと日吉君は何も言わずに席を立った。

自分の席の方に歩いていく。

・・・当たり前だ。


苦し紛れの言い訳でも、そんな馬鹿なことしてるって思ったら

失望したに決まってる。






教室で泣いたら、みんなに不審がられるから教室を出た。

教室が見えなくなったら走り出す。



やってきたのは屋上。


その瞬間にチャイムが鳴る。

・・・2時間目の授業はサボりだ。

そう思って寝転んだ。

世界が反転する。


私の目には思いもよらない人物が映し出された。



「日吉君・・・。」



「・・・。」




無言で日吉君は携帯を差し出した。

よく分からないけど、その画面を見る。





―――――――――――――――




To:

Subject:無題



好きだ。





―――――――――――――――




メールの作成日時は私と同じ日だった。

それにも驚いたけど、

メールの内容にびっくりして日吉君の顔を見上げた。


やっぱり日吉君の顔は真っ赤だった。



「送るぞ。」



日吉君はそう言って携帯をいじる。


次の瞬間私のポケットに入っていた携帯が振動した。

メールはさっき見た告白メール。



、俺が送ったんだから、お前も送れよ。


それとも本当にそのメールは偽物か?」



「ち、違う!

私・・・本当にひよs・・・」



「じゃ、ちゃんと送れよ。」




そう言われてメールを送信しようとする。

手が震える・・・。

ようやく送信したら、日吉君の携帯が振動したのが見えた。


私からの告白メールを見て、日吉君は満足そうな笑みを浮かべた。







青い空の下で2人隣合って座り、授業をサボる。




「日吉君。

授業、サボってよかったの?」



私がそう聞くと日吉君はメールを打っていた。


人が話しているのに・・・そう思った瞬間に携帯が振動する。





―――――――――――――



From:日吉若


Subject:無題



よくない。



名前で呼べ。俺もそうする。





―――――――――――――




すぐ隣に私はいるのに、

携帯で返事をしないといけないのか・・・

とにかく返信をする。






――――――――――――――



To:日吉若

Subject:Re



よくないんじゃん!




・・・若君。





――――――――――――――



何だか体が熱くなってきた。

隣の若君の顔も見れない。




また携帯が振動する。





――――――――――――――



From:日吉若

Subject:Re2










――――――――――――――



無言が続く。


隣り合っている肩から、若君の体温が伝わってくる。

・・・私に負けずに熱い。





どのくらいの時間がたったのだろう?


チャイムが鳴った。



「あ、チャイム。」



私はそう言った。



「行くぞ、!」




立ち上がった若君は

顔を背けながら私に手を差し出す。



「うん!若君!!」



そう言って若君の手を握った。


やっぱり熱い。

お互いに携帯を握る手もきっと熱い、

そう思った。







恋愛感染メール












☆あとがき☆





お題って

とっても難しいです(><)






恋愛感染メール



と言うお題に逸れてしまったんじゃないか?

と(涙

善処します!!






こんな駄文を読んでくださってありがとうございました!!!!





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