04　眩しいのは太陽じゃなくて

夏の太陽は眩しい。
そのせいで、暑いし、汗かくし、日に焼けるし・・・
最低だ。


だから、夏は涼しい室内でのんびりと
過ごすことが1番だと思う。
外に出るなんて、恐ろしすぎる！
溶けちゃうよ！！

そんなことを思いながら、
夏休みの補習を受けている私と親友。

そしてテニスコートから響いてくる
女の子たちの黄色い声援。
こんな暑い時期にご苦労なことだ・・・

「青春だねぇ〜。」

率直な感想を述べる。


休み時間が終了して、また補習が始まる。
私もご苦労なことだ・・・


何時間か経って
補習は終わったけど、
こんな暑い時間に帰るのってどうよ？
なんて考えてたら、テニスコートから出てくるテニス部レギュラーと思われる人たち。


「、アンタも一応中3であることを忘れないように！」

今更返してくる親友の声に、

「私はもう年寄りー♪」

と答えた。

テニスコートの方を見つめる。
3年のレギュラーはみんな分かるけど、
見なれない顔が3人。
・・・あ、1人はいつも跡部と一緒にいる人だ。確か後輩。
あとの2人もレギュラーで後輩だろうか？


「あの2人は2年生で・・・
背の高い方が鳳長太郎君で、
残った方が日吉若君だよ〜＾＾」


ふーん。
そう言ってやり過ごした。
特に興味があるわけじゃないし。
あとは、適当に校舎に残って太陽が沈むころに帰るだけ。
そう考えていたのに、
補習担当の先生に早く帰れ！なんて言われて、校舎を追い出される。
横暴っ！

これは家に帰るしかないと思ったのに
そんな時に限って家の鍵は忘れる、
親友は用事で先に帰る、お金はない、
で私は落胆した。


仕方なくテニスコート近くの木陰に行くことにした。
・・・私の記憶の中であそこが
この学校の外で１番涼しい場所だ。

木陰は太陽の光をいい具合に
遮ってくれて、キラキラ光っている。
少しでも風が吹けば涼しい。
・・・室内の冷房ほどではないけど。

そしてここはテニスを観覧するには
絶妙のスポットだった。
テニスのルールなんて分からないから、
なんとなく眺める。


さっき親友が言っていた日吉君が
私の目に留まる。
テニスとは思えないくらい綺麗な動きをしていた。
何か日吉君の周りにキラキラが見える。
きっと太陽が眩しく見せているに違いない。



ようやく夕方になった。
私もようやく帰れる！
テニスコートの方を見ると、練習は終わったのに日吉君の姿。
頑張っているんだ、眩しい・・・そう思った。
でもそれも太陽のせい！！


家に帰ったら、
母親に買い物を頼まれる。
面倒だ・・・もう部屋着とした
学校のジャージに着替えちゃったのに。
でも、ジャージで買い物に行っても特に問題ないと思ってそのまま出かける。

買い物に行く途中で、
ランニングをしている人。
・・・日吉君だった。
特に顔見知りではないし、そのまま通り過ぎたと思ったら・・・


「。」

そう呼ばれた。

「っ！どうして？」

思わず振り返って聞き返す。

「ジャージ。」

・・・確かにジャージの胸元には私の名札がしっかりと貼ってある。

「綺麗だったよ、日吉君のテニス。」

何も話題がないので、そう言った。

「・・・名前、なんで？」

今度は日吉君がそう言った。

「え・・・えと噂で！
噂で聞いたっ！！」

私が焦るのを見て日吉君は
面白い玩具を見つけたように笑みを浮かべる。

「よく言う。
今日、練習ずっと見てただろ？」

私は絶対真っ赤だ。
でもここで黙ることなんて
私の性格では不可能だった。

「私、3年で君より年上。
敬語忘れてるから！」

「・・・年上には見えなかった。
すいませんでした（笑」

すいませんに気持ちが籠ってない！そう思った。

「っ・・・！！」

真っ赤な顔をして
今にも怒り出しそうな私を見て
日吉君は満足したのか、
こんなところで休憩している場合
じゃなかったと言い出した。

「悔しかったら、
もっと先輩らしい態度をとることですね。
じゃ、失礼します。
・・・先輩。」

嫌味としか取れない笑いを残して、
再びランニングを始めた、日吉君。
その背中を見送ったときには太陽はきれいに沈んでいた。

それなのに私は・・・
眩しいと思ってしまった。日吉君の姿を。
眩しいと思っていたのは
太陽のせいだと思っていたのに。。
違ったみたい。

小さくため息をつく。
それは決意のため息。

・・・、中学3年。
確かに青春はこれからみたい！

「見てろよ！日吉若っ！！」

もう小さくなった日吉君の背中に向かって
そう言った。




☆あとがき☆

お題

眩しすぎるのは太陽じゃなくて

でした。

太陽＝夏。
という管理人の勝手な妄想から
夏のお話になりました（笑
季節外れも甚だしい！！


今回も駄文になってしまいましたが、
ここまで読んでくださって
ありがとうございました！！！！